「過払い金返せ」訴訟急増…灰色金利排除4年/読売新聞(12月22日)
消費者金融業者などから、払い過ぎた借金の利息を取り戻す「過払い金返還請求訴訟」が、東京地裁などで増え続けている。
最高裁が2006年1月、「グレーゾーン金利」を事実上、認めないとの判断を示してから約4年がたつが、一向に減少の気配はない。
背景には、弁護士などがテレビCMやインターネットを使って多重債務者の掘り起こしを進めているうえ、経営が悪化している業者側が容易に返還に応じなくなり、訴訟前の解決が難しくなっている状況がある。
東京地裁によると、過払い金返還請求が大半を占める「不当利得返還請求訴訟」の1〜11月の受理件数は約1万8500件。過去最高だった昨年1年間の約1万2800件を大きく上回った。交通や知的財産を巡る訴訟を除いた通常訴訟に占める割合も46%で、昨年1年間の36%を超えた。この割合も毎年増え続けている。
請求額が140万円以下の訴訟を扱う東京簡裁でも、昨年9月から不当利得返還請求訴訟の集計を始めたが、受理件数は同月の約1200件と比べ、今年10月は倍増している。
東京地裁の裁判官は「じきに減るかと思っていたが、今も燃えさかった状態。いつまで続くのか予測がつかない」と話す。
訴訟の増加の一因には、弁護士や司法書士が、多重債務者からの依頼を集めるため、テレビCMなどを積極的に活用していることがある。地方でもCMを流している東京都内の法律事務所のホームページでは、貸金業者や金額、期間などを記入して申込用紙を印刷し、それをファクスして相談できるようにしている。
ただ、中には、過払い金の返還請求で得た報酬を申告しない弁護士や司法書士もおり、今年6月までの1年間の税務調査で、全国の弁護士と司法書士計697人が総額約79億円の申告漏れを指摘されている。
一方、過払い金返還の負担で貸金業者の経営が厳しくなり、訴訟を起こされるまで債務者からの請求に応じなくなっていることも、訴訟の増加に拍車をかけている。
日本貸金業協会が協会員の業者を対象に行ったアンケートでは、返還した過払い金の総額は06年度の約5500億円から、08年度には1兆100億円に倍増した。これに伴い、商工ローン大手のロプロや消費者金融大手のアイフルなど経営難に陥る業者が続出。都内の司法書士は「以前は大手業者は請求額の8割程度を支払って訴訟を回避していたが、今は5割程度まで減額を求めてくる。交渉の余地がなく、訴訟を起こさざるを得ない」と語る。
過払い金返還訴訟に対応するため、東京地裁は今年4月、民事裁判官を増員。東京簡裁も裁判官を5人増やし、訴訟の途中で調停に回し、合意による解決を図る取り組みを始めた。4〜10月に調停に回された185件の7割程度が解決しており、同簡裁は「調停だとお互いに納得する形で早期に解決することができる」と期待をかけている。
◆グレーゾーン金利=出資法の上限金利(年29・2%)と、利息制限法の上限金利(元金により年15〜20%)の間の金利。出資法に抵触しなければ刑事罰を科されないため、以前はこの範囲の金利で貸す業者が多かったが、06年の最高裁判決以降は、利息制限法を上回る部分を過払い金として借り手に返す必要が生じた。来年6月までに出資法の上限金利が利息制限法の水準まで引き下げられ、グレーゾーン金利は法律上も廃止される。
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