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【瀬戸際!!貸金業】(下)成熟した市場になるために専門家のサポート体制を/産経新聞(3月18日)
消費者金融業界で最大手のプロミスは今年秋までに有人店舗を全廃し、社員の30%を削減する。とってかわる無人自動契約機を通じて音声で応対するのが、コールセンターだ。約220人の職員が交代で勤務するフロアでは、ずらりと並ぶパソコンのモニター画面に無人店舗へ来店した顧客の身分証明書や個人情報が映し出される。担当者は頭につけたガイドフォン越しに顧客とやりとりしながら、30〜40分という短時間に融資の信用審査を行う。

◆業界は大リストラ

借入額の上限を年収の3分の1以下に制限するなど、6月に完全施行される改正貸金業法を見込んで審査を厳しくしたため、融資を「お断り」する場面も増えた。怒鳴られることも多いが、ひたすらわびるしかない。東京・新橋のセンターに勤務する入社8年目の男性社員(30)は「大手という安心感は消えた。選んでもらえる会社にならなくては」と必死だ。

改正貸金業法施行と、顧客が払い過ぎた利息の払い戻し請求で、消費者金融業界はかつてない窮地に立たされている。アコムは有人店舗を半減し、社員を約550人削減する。私的整理で経営再建中のアイフルも正社員を半減、武富士も3割近くを減らす。

こうした業績悪化の背景に、多重債務者を生んだ貸付競争の過熱や暴力的な取り立てなど、業界が抱える構造的な問題があったことも間違いない。

消費者金融業界の構造改革は規制強化の中で審査と接客の質の向上を両立していく難しい業務だが、プロミスの久保健社長は「生まれ変わるチャンス」と意気込む。

◆借り手も意識改革

消費者金融をめぐる問題は、借り手にも意識改革を迫っている。

多重債務者の再生支援を行うNPO法人「女性自立の会」は「金銭管理」や「心の立て直し」をテーマに、会社員や主婦などごく普通の女性たちが集まる勉強会を年10回程度、都内で開催している。

「多重債務を抱える側に弱い部分があるのは事実。それでも立ち直れると知ってほしい」

 参加者の一人である横浜市在住の女性(41)は金融機関職員。定収入があるうえに実家暮らしで金銭的な余裕はあったのに、ショッピングローンの借入額が800万円近くに膨らみ、違法なヤミ金融業者に電話するのも「時間の問題だった」。インターネットで「自立の会」を知り、個人版民事再生法を活用して借金を完済した経験から相談窓口や金融知識の必要性を痛感し、今度は自分が助ける側に回った。

14年前から相談者をみてきた「自立の会」理事長の有田宏美さんは「法改正で業者を締め付けても根本的な解決にはならない。相談窓口を増やすなど消費者教育につながる環境づくりが必要だ」と訴える。

◆法規制だけでは…

改正貸金業法をめぐる波紋の広がりを受け、金融庁の貸金業制度に関するプロジェクトチーム(PT)は、有識者に対するヒアリングを昨年11月から13回にわたって実施した。浮かび上がったのは、厳格な法規制で締め付けるしか処方箋(せん)がなかった日本の消費者金融市場の未熟さだ。

たとえば、英国には上限金利規制も総量規制もない。低所得者向けローンが発達し、顧客の信用情報管理が確立している。そのため「業者間の自由競争が進み、金利の引き下げにもつながっている」(英研究機関ポリシスのアナ・エリソン研究部長)のだ。

「貸金業とカウンセリングは車の両輪だ。うまく機能すれば消費者金融市場の発展と生活水準の格差是正につながる」。堂下(どうもと)浩・東京情報大准教授は、日本に欠けているのは弁護士や貸金業者など専門家によるカウンセリングなどのサポート体制だと指摘する。

金融庁は月内にも、改正貸金業法の運用の見直し案をまとめる。だが、改正貸金業法の完全施行は、貸金業をめぐる一連の問題の終着点とはいえそうにない。

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